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1・清酒の分類
 清酒には本醸造、純米、吟醸、大吟醸等の分類があります。簡単に言えば米の精白やアルコール添加の有無といったところの住み分けです。ここはご存知の方も多いと思いますが、どこからが吟醸?どこからが大吟醸?というとけっこう曖昧になってくるところです。

 規定では精白が60%以下ならば
吟醸(純米吟醸)、精白が50%以下ならば大吟醸(純米大吟醸)、60%より上ならば本醸造(純米)と分けられています。が、60%以下ならば吟醸と呼べるわけで精白が50%のお酒を大吟醸でなく吟醸という名称にしてもいいわけです。つまり銘柄によっては精白50%が吟醸となっているところもあれば大吟醸となっているところもあるわけです。精白55%で純米と表記されている銘柄もあります。そのようなわけで蔵によって基準がまちまちとなっています。

 続いては純米と本醸造、吟醸と純米吟醸といった分類についてです。アルコール添加の有無でこれらが分けられるわけですが、添加されている場合は成分表記に「
醸造アルコール」とありますがこれって何?、という方が多いです。簡単に言うと高濃度(100%近い)の甲類焼酎のことです。これを30%程に調整をし、搾り前のもろみに添加します。なぜ添加するのかというと酒質の安定を確保するため、殺菌効果、吟醸香がよくなるとの理由があったりします。また、本醸造→吟醸→大吟醸となるにつれ添加の割合は少なくなっています。甲類焼酎のほかに粕取焼酎などといった乙類焼酎(本格焼酎)の米焼酎を添加する「柱焼酎」仕込みというのもあります。こちらは全ての原料が米なのにもかかわらず純米という表記にはなりません。あくまでアルコール添加です。あとは仕込水の代わりに清酒を使うものを「貴醸酒」と言い、大変濃厚なお酒に仕上がります。清酒の仕込み水としての使用量はおおよそ留仕込の一割ほどでしょうか、これもまちまちです。

 最後は
火入れの違いを。最初お酒はみんな生の状態です。酒中には酵素が生きており常温で置いておくとこの酵素が酒質の劣化を進めてしまいます。しかし、氷温(−2℃程)で保存しておけば酵素の働きは抑えられ風味豊かなまま保存ができます。ですので蔵や酒屋の冷蔵庫は氷温設定ですので問題ない訳ですが、家庭の冷蔵庫では温度が高いため生酒の場合劣化が少しずつ進みます。お買い求めから一週間ほどでお飲みになることをお勧めします。この様な感じで生酒ですと管理が徹底していないといけない訳です。火入れは酒質を劣化させる酵素を破壊、清酒を腐敗させる火落菌の繁殖防止のために行われます。このため保存性が良くなり常温でも保存ができるようになります。もちろん冷蔵保存に越したことはありません。火入れは加熱により酵母のはたらきを抑えるためにやるもので、温度は低く65℃程です。また火入れ後は急速に冷却し品質を保持しています。さて、火入れをする時期や回数によっても名称が変わってきます。通常の火入れ酒というのはもろみを搾ったあと貯蔵前に火入れをします。そして出荷前の瓶詰めのときにもう一度火入れを行い製品となります。このように2回火入れをしたお酒が通常の火入れ酒です。搾り後に火入れをせずに生で貯蔵し瓶詰めのときに1回火入れをするものが生貯蔵酒となります。また、貯蔵時に1回火入れをし秋のころに2回目の火入れをせず出されるものをひやおろしといいます。火入れと一口に言っても種類は様々です。

 これまで述べてきた他にも細かく分けることはできますが大雑把にはこんなところです。これらの組み合わせで様々な個性のお酒が揃います。それぞれの味わいの違いもいろいろと楽しんで頂けたらと思います。